今回は、PARCひがしおおさかに通ってくれている、あるお子さま(Aちゃん)の、心と身体の素敵な成長のお話をご紹介します。
Aちゃんのペースに合わせた環境づくり
初めてAちゃんがPARCひがしおおさかに来てくれた日は、玄関からお部屋の中に入るまでの一歩一歩がとてもゆっくりで慎重だったのが印象的でした。
周りの様子をよく見ながら一歩ずつ進んでいくAちゃん。
保護者様からは、
- 少しずつ他者との緊張が和らいでほしい
- 身体を動かして、のびのびと過ごしてほしい
とお話がありました。
そこで私たちは、ますAちゃんが安心して過ごすことができる関係性を築くことを目標に療育を始めていきました。
声をかけると、その場で身体が止まってしまうこともあり、「自分から人と関わる」ということはまだ少し不安がある様子でした。
まずは、PARCの場所に慣れることができるように、静かな机上室での活動から始めました。
活動に慣れてくるにつれて、同時間に利用するお友達と同じ部屋で過ごす場面も増やしていきましたが、その際にはマットで空間を仕切り、Aちゃんが自分のスペースとして安心して遊べるような環境を整えるように工夫しました。
こうした環境設定により、緊張が強くなりすぎることなく、少しずつ他者との空間も共有できるようになってきています。
「この人たちは安心できる」そう思ってもらうために
活動や課題に取り組むことよりも、まずはAちゃんが「この人たちは安心できる」と思ってもらえるよう、ゆっくり丁寧に信頼関係を築いていきました。
- Aちゃんの目線に合わせて話す事
- 声のトーン落ち着かせて話す事
- できたことはしかり褒めて自己肯定感を育てる事
- 小さなサイン(目線・仕草・表情)を見逃さず、伝えたい気持ちを丁寧にくみ取る事
など、一つひとつのやり取りを大切にしながら関わりました。
Aちゃんのペースに寄り添いながら、無理に声をかけるのではなく、待つ・見守る事を大切に日々療育を重ねていきました。
小さな「伝えたい」が育っていく
ある日、お絵描きをしていたAちゃんが、スタッフに「○○書いて」とペンを差し出してくれました。
それは、Aちゃんが初めて自分の思いを行動で表現してくれた瞬間でした。
その日から少しずつスタッフとの関わりが増え、目を合わせてくれたり、気持ちを伝えてくれる場面が増えていきました。
小さな成功体験が“次もやってみたい”につながる
そして、身体を使った遊びへの挑戦も始まりました。
最初は遠くから見ているだけだったクライミングネットにAちゃんが自分から「これ乗ってみる」と近づいて行きました。
スタッフと一緒に、一段ずつゆっくり登っていくAちゃん。
不安とワクワクが混ざった表情で、一生懸命挑戦する姿がありました。
身体を動かすことは、心の壁を超えるきっかけにもなります。
この経験がAちゃんの中にある“やってみたい”という気持ちをまた一つ育ててくれました。
クライミングネットから広がった“やってみたい!”の気持ち
クライミングネットへの挑戦をきっかけに、Aちゃんはサーキット遊びにも興味を持てるようになりました。
実はこのサーキット(ケンケンパやバランス遊具などを組み合わせた運動遊び)は、「少しでも身体を動かす機会を作ってあげたい」という思いから、Aちゃんのペースに合わせてスタッフが事前に準備していたものでした。
最初はスタッフと手を繋いで歩くだけでしたが、今では自分から楽しそうに取り組む姿勢が増えてきました。
サーキットは、身体のバランス感覚だけでなく、ルールを守る・空間を認識するなど、様々な力を自然と育むことが出来る遊びです。
サーキットにも挑戦しようと思えたことは信頼しているスタッフが傍にいることが、Aちゃんにとって安心してチャレンジの場になっているように感じます。
ゆっくり、じっくり、自分のペースで
「人と関わるのは不安」「でもやってみたい」
そんな気持ちの間で、Aちゃんは毎日、少しずつ自分なりの挑戦を重ねています。
最近では、自分の思いを言葉で伝えてくれる場面も増えてきていて、表情もどんどん柔らかくなってきました。
~心がほぐれると、身体も自然と動き出す。そして身体を動かすことで、自信が育っていく~
そんな、心と身体の成長サイクルが、Aちゃんの中でゆっくりと生まれてきているように感じています。
「楽しい!」が関わりの第一歩に
最近では、お友達との関わりにも素敵な変化が見られるようになりました!
ある日、Aちゃんが楽器で遊んでいると、お友達から「貸して」と声をかけられました。
最初は少し戸惑った様子もありましたが、ニコニコしながらお友達の様子を見ていたAちゃん。
スタッフがそっと声をかけると、自然と一緒に遊び始めることができました。
その姿をみていた保護者様も、驚きと喜びがある様子でした。
また別の日、おにぎり屋さんごっこをした際にも成長がありました。以前は事務所の中に入る事も緊張していたAちゃんですが、その日、事務所にいた初めて会うスタッフにも「どうぞ」とおにぎりを配って回る事ができました!
他者と関わる事への不安が、少しずつ「楽しい!」という気持ちに変わってきているAちゃん。その日、降所する際には「またおにぎり屋さんやる!」と言ってくれている程でした☆
その表情や行動の変化に、私たちスタッフもとっても感動しました(´-`).。oO
まとめ
「Aちゃん、今日はこんな事ができたね!」
「また次もやってみようか」
そんな日々のやり取りの中で、Aちゃんは少しずつ“自分の世界”を広げています。
保護者様の願いに寄り添いながら、スタッフとの信頼関係を土台に、心と身体の成長を支えていく事が、私たちが目指している療育です。
これからもAちゃんの“できた”を一緒に喜びながら、「やってみたい!」という気持ちを大切に、寄り添っていきたいと思います(*^-^*)