食事に強いこだわりを持っているYちゃんは、お母さんが一緒でないとなかなかご飯を食べてくれません。
しかし、もうすぐ小学校に入学するYちゃん。小学校ではお母さんが常に一緒にいることはできません。
そこでPARCウィル城陽に「お母さんがいなくても給食(お弁当)をしっかり食べてほしい」とご家族から相談がありました。
場所や人が変わるとご飯を食べてくれないYちゃん
まずはご飯を食べる練習として、PARCウィルのスタッフと一緒にお昼ご飯を食べることを提案しました。Yちゃんはご飯を食べるとき、喉に食べ物が詰まったり体が倒れてしまったりしないよう座位保持椅子に座ります。
ご飯を食べるためにYちゃんに座位保持椅子へ座ってもらおうとしたところ、泣いて嫌がり、座ってくれませんでした。
しかし、お母さんが抱っこするとすんなり座ってくれ、食事も難なく食べることができました。
このことから、まずはお母さんが抱っこしなくても椅子に座れるように練習することにしました。
アプローチ:食事以外の時間に座位保持椅子に座ってもらう
椅子に座るのを嫌がるのは食事の時間だけなので、Yちゃんにはそれ以外の時間に椅子に座ってもらうことにしました。椅子に座ったYちゃんと一緒に活動遊びをしたり歌をうたったりして、椅子に座っている間も楽しい時間なのだと分かってもらえるようにアプローチしました。
アプローチ:結果
アプローチの結果、次の利用からは食事の時間になっても嫌がることなく座位保持椅子に座ってくれるようになりました。
お母さんがいない空間でご飯を食べる練習
椅子に座れるようになったので、いよいよご飯を食べる練習です。Yちゃんは「お母さんと一緒にご飯を食べる」ことにこだわりを持っているため、まずはお母さんと離れて過ごす時間を作りました。
お母さんがいなくても「PARCウィル城陽」は安心な空間だということを体験してもらうことで、リラックスして食事をしてくれるのではないかと考えたからです。
アプローチ①:食事介助をお母さんではなく、スタッフが行う
まずは、お母さん以外と食事をしても、食べ物の味や食事の楽しさは変わらないということを体験してもらうため、お母さんには別室で待機してもらい、食事介助をスタッフが行うことにしました。
アプローチ①:結果
スタッフがお口にご飯を持っていくと、Yちゃんは嫌がってまったく食べてくれませんでした。お母さんから伝授してもらった「Yちゃんが食べないときの対処法」
- お弁当の歌をうたう
- お気に入りのおもちゃで遊びながら食べる
偶然がきっかけでご飯が食べられるようになることも
ほかに工夫できることはないかと頭をひねっていたところ、ある日ふとYちゃんがスタッフからご飯を食べてくれました。そのことが嬉しくて周りにいたスタッフも一緒になって喜んだところ、Yちゃん自身も嬉しそうに「よくできました」のサインを出してくれました。
お母さんにこの出来事を話すと、Yちゃんは「注目を浴びることが好き」というお話をしてくれました。
アプローチ②:食べられたらみんなで褒める!
そこで、一口食べられたら「みんなでたくさん褒める」というアプローチを行ってみることにしました。Yちゃんがご飯を食べる時は周囲になるべくスタッフが多くいる環境を作り、一口食べられたらみんなでたくさん褒めることを繰り返しました。
アプローチ②:結果
そこから週1~2回の利用で約半年、Yちゃんは嫌がることなくスタッフの介助で食事をしてくれるようになりました。小学校入学まであと半年ほど。新しい環境にでもYちゃんが安心して美味しくご飯を食べられるように引き続きサポートしていきます。
まとめ
今回は偶然からご飯が食べられるようになったお話でしたが、一人ひとりの性格が違うように、一人ひとりに合った療育を探すためには失敗と成功の繰り返しが大切なんだと改めて実感しました。お子さまの「できた!」に真剣に向き合うことで、子どもたちのチャレンジ精神を高めることができていると思います。