PARCウィル城陽・PARCウィル伏見では、重症心身障害のお子さんを中心に療育・支援活動を行っています。
今回は、PARCウィル城陽・PARCウィル伏見に通っているお子さんの特長や注意点から、どのような療育・支援を、どのような目的で行っているかについてお話します。
PARCウィルの重症心身障害・医療的ケアが必要なお子さまへの支援活動
PARCウィルでは、お子さんへとそのご家族、双方に寄り添ったサポートを行っています。
今回は、そんなPARCウィルの支援活動の中でも、特にお子さんへの
- 食事
- 排泄
- 呼吸
- 姿勢
- 体温
- コミュニケーション
の6項目について詳しくお話していきます(*^-^*)
PARCウィルの支援活動①「食事」
PARCウィルに通っているお子さんの中には、咀嚼・嚥下機能が十分でなかったり、呼吸・消化機能障害によって経口摂取が難しかったりと、必要な栄養を摂ることがなかなかできないお子さんもいます。
また、筋緊張があったり、脊柱の変形などにより姿勢が保てなかったりして、胃や食道の機能が十分でないことにより、胃食道逆流症を起こすこともあります。
お子さんに合わせた食事の取り方
そんなお子さん一人ひとり合わせてPARCウィルでは食事姿勢や食事用具を工夫しています。
たとえば、麻痺のあるお子さんにはリハビリテーションを兼ねて、麻痺側で茶碗を支えて、麻痺のない健側でスプーンを持って自分で食べる練習をします。
また、経口摂取が難しいお子さんにも、一緒に献立を確認したり、匂いを嗅いでどんな香りがしたりするのかを確認することで、食事を楽しめるように関わっています。
PARCウィルが行う支援活動②「排泄」
排泄でよく問題になるのが「脱水」です。
経管栄養では食物繊維の摂取が少なくなること、また身体活動の少なさや、脊柱の変形によって腸管運動が妨げられるため、脱水を起こしやすく、結果、便秘にもなりやすくなります。
▼排泄はリハビリやコミュニケーションにも繋がる
水分摂取を促し、療育中に体操や散歩・ストレッチを行い、活動量を増やすことで腸管運動が活発になるよう工夫しています。
ほかにも、少しでも歩行が可能なお子さんであれば、トイレまで歩いて行くことがリハビリテーションにもなります。
また、「トイレに行きたい!」というお子さんの気持ちを汲み取ること、そしてトイレで排尿できた時の「できた!」を共有することが、コミュニケーションの一つとなるとPARCウィルでは考えています。
トイレ内では、姿勢保持が難しいお子さんには、安全に排泄が行えるようトイレにプラットホームを作成し、排泄介助を行なっています。
トイレ以外にも、生活動作などをPARCウィルで行っています。その一つひとつが、お子さんからの大切な発信だと理解し、決して一方的にならず、相互でのコミュニケーションを行うよう心がけています。
関連記事「子どもの日常生活動作トレーニング~トイレトレーニングの工夫~」
(https://parc.medi-care.co.jp/blog/29)
PARCウィルが行う支援活動③「呼吸」
呼吸身体活動の少なさや、胸郭の変形、筋緊張亢進や筋力低下などによる呼吸筋や横隔膜の運動が制限されているお子さまもいます。
これらの運動がなされていないと、十分な換気ができず、痰を出すために必要な深い呼吸が難しくなります。
そのため、自分で痰を出すことができなかったり、身体の動きが少なく、痰が上がってこなかったりすることもあり、肺や気管に痰か貯留しやすくなります。
また、水分摂取が十分でないなどの理由から、痰が粘稠度を増して、より出しにくい状態になってしまう場合もあります。
呼吸を楽にする姿勢を取ることで得られる効果
特にうつ伏せの姿勢は、普段あまり使わない背中側の肺から酸素を取り込みやすくなります。
酸素を容易に取り込めることで深い呼吸がしやすくなり、痰が出しやすくなります。
また、リラックス効果もあるので、PARCウィルでは療育中にうつ伏せになってもらうことが多いです。
呼吸器装着されているお子さんも、うつ伏せの姿勢を取ることが可能ですよ(^^♪
PARCウィルが行う支援活動③「姿勢」
自分で身体を動かすことが少ないと、筋緊張や全身の骨関節の拘縮・変形をきたすことがあります。
それにより、「座る」や「立つ」姿勢が保てなかったり、脊柱が変形してしまったりして、呼吸や消化器などに影響を及ぼしてしまう場合があります。
また、骨は自分の体重や重力がかかることで丈夫になります。
立位が保てないと重力がかからず、骨が脆くなって、少しの姿勢の変化でも簡単に骨折を引き起こしてしまうかもしれません。
療法士が教える正しい姿勢作り
PARCウィルでは、身体の専門家・理学療法士が主体のもと、お子さん一人ひとりに合ったストレッチを行っています。
筋緊張を緩和させ、変形・拘縮予防を行い、適切な姿勢で活動に参加できるようにストレッチやポジショニングを行っています。
PARCウィルが行う支援活動④「体温」
脳の障害や自分で身体を動かすことが難しいお子さんは、筋力低下や末梢循環が悪いことがあり、体温調節を行うことが難しいことがあります。
環境を調整して体温調節をしっかり行う
空調の設定や衣服の調整などの環境設定をしつつ、体温調節が難しいお子さんには小まめに体温測定を行っています。
特に外出時は注意し、夏は保冷剤や携帯ミスト、冬は毛布や湯たんぽを持参し、お子さんに心配なく楽しんでもらう工夫をしています。
また、寒い冬は手浴や足浴を行い、末梢循環を高めるサポートも行っています。
PARCウィルが行う支援活動⑥「コミュニケーション」
PARCウィルには、脳や呼吸の障害により、言葉でのコミュニケーションが難しいお子さんも通われています。
「いつもとの違い」に気づき、積極的なコミュニケーションを
言語による意思表示が難しくても、表情・仕草・声・身体の動き、緊張・行動・症状などから汲み取れるものは多くあります。
療育活動の中で、嬉しい時・悲しい時の反応違いや、「いつもとの違い」を観察して、私たちがその思いを言葉で代弁する形でコミュニケーションをとっています。
「まとめ」
PARCウィルでは、保育士、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、児童指導員など、多職種がそれぞれの専門性を活かしながら連携を行っています。
お子さん一人ひとりの特性やその日の体調に合わせて、安全に、そして何より楽しく療育活動ができるよう、健康管理を行っています!