今回は、「ふわふわ」「ぎゅっ」「ワクワク」などの言葉が、実は子どもの理解や成長にとってとても大切だというお話をしたいと思います。
クオリア表現って何?
例えば、こんな言い方を聞いたことはありませんか?
- 「ふわふわしているね、触った感じが」
- 「ワオーって聞こえた!」
- 「どきどきするほどうれしい」
- 「おもしろくてわくわくする!」
これらの言葉には、ただの情報ではなく、「その人がどう感じたか」が込められています。
こうした、感覚や気持ちを質感たっぷりに表す言葉のことを、「クオリア表現(質感表現)」といいます。
科学的にも、人は単に「見る」「聞く」だけでなく、「どう感じたか」という感じの質を持っていることが分かってきています。
つまり、「ふわふわ」とか「ワクワク」って、人間だけが持つ特別な感じ方になんです。
抽象的なことを理解する入口にもなる
「ワンワン」「ゴトンゴトン」といった擬音語の違いから、子どもは動物や乗り物の感覚的な違いにも気づいていきます。
ライオンを見て「ワンワンじゃないね」と言った子がいました。
これは、「ワンワン系だけど犬とは違う」と気付いている証拠なんです。
このように、クオリア表現は、抽象的な言葉や概念を理解するための土台になることもあるのです。
記憶にも残りやすい!
実は「ぎゅっ」「ズキズキ」「ピリピリ」といった擬音・擬態語は、記憶にも残りやすいと言われています。
音や感覚が伴っているから、頭にスッと入って、ずっと忘れにくいんですね。
説明するときだけでなく、子どもに気持ちを訪ねるときにも、「ズキズキする?」「ピリピリ辛い?」といった聞き方をすると、子どもも自分の感覚を伝えやすくなります。
まとめ
私たちが普段何気なく使っている「ふわふわ」「ぎゅっ」「ワクワク」といった言葉。
これは、ただの擬音語・擬態語ではなく、その人の感じ方そのものを表している、とても大事な表現なんです。
こうした「クオリア表現」は、
- 子どもが物ごとをイメージしやすくなる
- 感情や体験が記憶に残りやすくなる
- 「犬」と「ライオン」の違いのように抽象的な考え方の土台になる
- 「自分はこう感じた」と自分の気持ちを表現する力を育ててくれる
というように、子どもの心の発達にとってたくさん良い影響があります。
それなのに、私たちはつい「正しい言葉で言いなさい」と、クオリア表現を避けがちです。
でも、感じたことを感じたままに伝える力は、表現力・想像力・理解力すべての原点。
だからこそ、「ぎゅってしてみようか」「ピリピリするの?」「ワクワクした?」そんな風に感じたことを大切にした言葉かけをもっと日常に取り入れていくことが大切です。