子どもは成長していく中で少しずつ「言葉」を習得していきます。
一般的には0~1歳で「喃語」、1歳6ヶ月頃までに「1語文」、2歳頃までに「2語文」と少しずつ語彙を増やしながらおしゃべりが上手になり、自分の気持ちを伝えることができるようになっていきます。
そんな言葉の発達に関して、語彙力の他に「滑舌」についての悩み事もよく聞きます。
例えば、「かきくけこ」が「たちつてと」になってしまう、特定の行が言いにくい、といった悩み事にみなさんはどのように対処していますか?
今回は、そんな滑舌に関するお話をしていきます。
滑舌が悪いってどういうこと?
そもそも「滑舌が悪い」というのは、どういう状況なのでしょうか?
身体に発達段階があるように、滑舌にも発達段階があります。
身体の発達って個人差がありますよね?
これと同じように滑舌の発達にも個人差があり、成長過程があるということです。
子どもの発音の発達段階
一般的な発音の発達段階は以下のようになります。
- 1~2歳頃 マ行・パ行・バ行・ワ・ン
- 2~3歳頃 ア行(母音)・タ行(ツ以外)・ダ行(ヅ以外)・ヤ行
- 3~4歳頃 カ行・ガ行・シャ行・ジャ行・チャ行・ナ行・ハ行
- 4~5歳頃 サ行・ザ行・ヅ・ラ行
- 5~6歳頃 ツ
赤ちゃんが「ママ」や「パパ」、「ワンワン」や「ブーブー」などから話始めるのも、これを見れば理由が分かると思います。
滑舌も子どもの成長過程!
発音には発達段階があるので、滑舌が悪いからと言って無理に直そうと何度も言い直しをさせたり、指摘して叱るなどは避けた方がよいです。
発音の発達において大切な事は、子どもの「話す楽しさを育むこと」です。
正しい発音も大切ですが、まずは自分の気持ちを言葉にして発するということそのものを「楽しい!」と思えるような支援を心がけていくことが重要です。
遊びをしながら話すことの楽しさを伝えていこう!
支援方法の1つに「音韻意識」を使った遊びがあるので、いくつか紹介します。
「音韻意識」というのは、「単語が音の単位でできている事に気がづくこと」をいい、この認識ができていないと発音が不明瞭になりがちです。
音韻意識の遊び①音のまちがいさがし
動物などの絵を見せて、正しい名称、もしくは間違った名称を言う遊びです。
例:カバの絵を見せて「タバ?」と尋ねます。
発音があっているか間違っているかを子どもに判定してもらいます。
音のまちがいさがしのポイント★
音を聞いて正誤を考えることで、1音1音への意識を向ける遊びです。
慣れてくると出題者の口元を隠したり、文章を長くしても楽しめます。
音韻意識の遊び②絵しりとり
絵カードを使ったしりとり遊びです。
例:動物の絵などが描かれたカードを準備します。
カードの絵を発音しながらしりとりの順番になるように並べ替えして遊びます。
絵しりとりのポイント★
普通のしりとりではなく、絵カードを使うところがポイントです。
絵カードを使うことで、単語を構成する文字の順番や音の数をいしきできるようになります。
絵しりとりに慣れてきたら、口頭でのしりとりでも1音1音意識できるようになります。
音韻意識の遊び③音さがし遊び
いくつかの絵カードを準備して、その中に隠れた音を見つける遊びです。
例:「いぬ」「ねこ」「パンダ」などいくつかの絵カードを準備します。
「『パ』はあるかな?と尋ねて、尋ねた音が含まれる絵カードを選んでもらいます。
音さがし遊びのポイント★
単語を構成する音を意識することができる遊びです。
出題の前にすべての絵カードを読み上げてから始めることでより意識しやすくなります。
少しずつ文字数を増やしたり、正解を複数用意するのもいいと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、滑舌の話から音韻意識を育むための遊びについてのお話をしました。
成長とともに自然に身に付いているように感じる「話す」という行為ですが、細かく見るとさまざまな発達段階を経て獲得していくものだということを知ってもらえたかなと思います。
状況によっては専門家のアドバイスが必要なこともありますが、まずは子ども自身が「話すって楽しいんだ!」と思えるような支援から始めていけたらいいですね。