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PARCの多職種連携とは?療法士と保育士・児童指導員の視点の違い

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「PARCあしや」には現在(2022年3月)、保育士児童指導員に加え、理学療法士言語聴覚士が在籍しています。
様々な職種が在籍しているからこそ、それぞれの専門性を活かした視点で多角的にお子さまをサポートすることができています。
また、他職種同士が意見を交わし合うことで新しい発見や、お子さまにとってより良い療育が行えるメリットもあります。
そこで今回は、「PARCあしや」でそれぞれの資格を持ったスタッフがどのように連携しているのかをお伝えします。

 

療法士と保育士・児童指導員の視点の違い│<ケース1>「ことば」の発達がゆっくりなA君

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4歳
1語(「わんわん」「ママ」「パパ」など)は話せるが、2語文以上(「パン / ちょうだい」「わんわん / かわいい」など)での発語はあまりない。

 

言語聴覚士の視点

発語の際に使用する器官(口腔構音器官)が未発達の可能性がある。

お子さまによって得手不得手な音があるため、その傾向をまずは知る。

興味関心のある内容であれば発語時期も早い傾向にあるため、その子の興味関心の対象を知る。

興味関心のある内容と関連させながら、まずはたくさんの言葉を「聞く」インプットの経験を積めるような関わりを意識する。

 

保育士・児童指導員の視点

あそび方はどの段階?(一人あそび、平行あそび、共同遊びなど)こちらの反応を期待しているか? などその子の発達段階をきちんと把握する。

子どもが伝えたいことや思っていることを汲み取れるよう、表情をよく観察する。

発達段階を把握したうえで、行動や発声を真似したり、歌ったり、ジェスチャーを付けて表現したり、子どもの興味関心を引き付けられるような遊びを提案する。

関連記事│「遊びの発達段階ってどんなもの?一人遊びからお友達と遊ぶまで」

 

療育方法の提案と保護者さまへのアドバイス

言語聴覚士と保育士・児童指導員でお互いの意見を出し合い、お子さまの「好き!」を大切にしながら保護者さまの希望も取り入れて接し方や療育方法の方向性を決めます。
A君の場合は、発語を促す前に「語彙」のインプットが必要だろうということが、療法士・保育士・児童指導員の共通の見解でした。
そこで保護者さまには、日常生活の中でいろんな話題をA君に話しかけてもらえるようにお願いしました。
また、PARCでの療育として、A君の興味関心がある遊びの中で話しかける機会を増やし、A君がたくさんの「語彙」を吸収していけるプログラムを提案しました。

関連記事│子どもの「ことば」の発達とは?「ことば」の遅れの要因と発達を促す5つのポイント
関連記事│「言語聴覚士直伝!構音(発音)の発達段階とおうちでできる"ことば"の療育を知ろう!」

 

療法士と保育士・児童指導員の視点の違い│<ケース2>書字に苦手意識があるBさん

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小学校2年生
文字がマスからはみ出てしまう。
文字を正しく書き写せない。
上記のようなことがあり、字を書くことに苦手意識を持ってしまっている。

 

理学療法士の視点

書き順を確認する。同じ書き順で書けていれば文字を「文字」として捉えているが、毎回違う書き順で書いている場合は文字を「絵」として捉えている可能性がある。

同じ書き順で字を書けない場合、書字以外の困り事も隠れている可能性があるため、他になにか困り事がないかを本人・保護者に確認する。

マス付ノートを使って文字がはみ出さない練習をする。

鉛筆を持つ力や筆圧が強すぎたり弱すぎたりする場合は、補助具を使うことを提案

 

保育士・児童指導員の視点

子どもにとって書きやすい道具が何かを提案・検証する(鉛筆、太マジック、ホワイトボード、ざらざら下敷きなど)

間違えても楽しく書き続けられる雰囲気を作る。

書いた文字や書く時の姿勢をよく観察し、良かったところを伝えることで成功体験に繋げる。

楽しく書字に繋げられるようなあそびを提案する(試合の得点表やお店屋さんごっこのメニュー表など)

 

療育方法の提案と保護者さまへのアドバイス

理学療法士の視点にも保育士・児童指導員の視点にも、保護者さまからお子さまの普段の様子を聞くことが欠かせません。

園・学校での様子は?

どんな時にお子さまは自分の力を発揮できていますか?

どんな時にお子さまは消極的になったり苦手を感じたりしていますか?

お子さまの様子を保護者さまとスタッフで共有し、あそびの中で取り入れられるアプローチを考えます。
その結果、お子さまどんな反応や変化があったかを保護者さまとスタッフ、そしてスタッフ間同士で共有し、次のステップを考えていきます。

Bさんの場合は、指先の感覚が得にくいことが原因で筆圧が強くなり、文字を覚えたり書いたりすることが苦手だと分かりました。
また、文字を書き間違えた時に叱られた経験が苦手意識に拍車をかけてしまっていたようです。

摩擦が生じやすくなるざらざら下敷きを使って指先の感覚を得やすくする

三角鉛筆やクリップなどの補助具を使って筆圧を弱くする

書き間違えてしまっても、その時の良かった点を見つけてあげて褒める

などのアプローチを行うことにしました。
また、同時に自宅や集団の場である園・学校でも同様のアプローチ方法に取り組んでもらえるようお願いしました。

関連記事│髙畑 脩平先生研修会まとめ「書くことに困難さを感じている子どものためにできる準備と支援」

 

まとめ

今回、2つのケースをもとに、専門スタッフそれぞれの視点の違いについてお話しました。
各専門によって子どもたちの見え方、関わり方はさまざまです。
だからこそ、色々な視点からお子さまも見ることができ、新しい「気づき」が生まれます。
PARCが担当制を設けず、スタッフ全体で1人のお子さまを見ている理由の1つがこのためです。
PARCでは、スタッフ同士で子どもたちの様子(気付き)を共有し、また保護者さまとも共有して方向性を確かめ合いながら療育を進めています。
 

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