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保育所等訪問支援とは?②保育所等訪問支援の内容と実際の利用事例

保育所等訪問支援とは? 保育所等訪問支援の利用方法 保育所等訪問支援の内容 保育所等訪問支援の連携 保育所等訪問支援の実例 保育所等訪問支援の実際 集団生活の苦手を改善 学校生活の苦手を改善 発達障害児 発達障害グレー 発達障害グレーゾーン 芦屋市の保育所等訪問支援 パルクあしや パルク芦屋

前回は保育所等訪問支援の成り立ちと、PARCの療育についてご紹介しました。
今回は保育所等訪問支援の利用ついて、事例を交えてご紹介します。

 

保育所等訪問支援の実施までの流れ

保育所等訪問の実施は、以下のような流れになります。


 

①保護者からの依頼

保護者からの

  • 園や学校での様子で気になることがある
  • 個別ではできているが、集団になると苦手が出てくる
  • 通所ではできていることが、園や学校では何故かできない
  • 児童発達支援を卒業後、学校での支援が不足している

などの「気になる」ご相談・ご依頼によって、「保育所等訪問支援」開始に向けての準備が始まります。

 

②受給者証の取得

受給者証の支給決定はサービス種別ごとになっています。
そのため、保育所等訪問支援を利用するためには、保育所等訪問支援にかかる給付費支給申請を市町村に行う必要があります。
すでに通所支援(児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業)などを利用している場合でも、保育所等訪問支援のサービス利用について申請を行い、市区町村から支給決定を受けなければなりません。

 

③保育所等への連絡依頼・相談支援専門員(市町村)との連携

保育所等訪問支援の実施は、訪問先(園や学校)の許可が必要となります。
相談支援専門員がいる場合は、並行して連絡を取りながら園や学校との連携が必要となります。

 

④アセスメント

保護者、訪問先の園・学校長、担任、相談支援専門員、PARCスタッフによるアセスメントを実施します。
アセスメントとお子さまの状況に合わせて、保育所等訪問支援に関する個別支援計画を作成します。

 

・訪問支援

個別支援計画に基づき、月に1~2回の頻度で訪問支援を行います。

 

・フィードバック

保護者や訪問先に対して、お子さまの様子や支援の内容を報告します。
個別支援計画は最長6ヵ月で更新となりますが、PARCでは臨機応変に個別支援計画の見直しを実施しています。

 

保育所等訪問支援の内容

保育所等訪問支援では、2種類の支援を行います。

・直接支援・・・対象は本人。行動を観察する中で集団や療育場面を把握し、集団生活への適応を目的に関わりを行う。

・間接支援・・・対象は担任の先生や本人に関わる園・学校の関係者。または教室などの環境を整えることも含む。本人の発達課題や支援方法を共有できるように提案・協議を行う。

子どもの発達段階や特性に応じ、本人に対する直接的な支援だけでなく、周囲の理解や環境の整備といった間接的な支援も必要不可欠となります。
上記のことからも、保護者と訪問支援事業所(PARC)の連携だけでなく、訪問先である園や学校の理解、協力が必要になります。

 

保育所等訪問支援の事例

実際に、PARCあしやでの保育所等訪問支援の事例を紹介します。

 
事例

Kくん
小学校2年生
特別支援学級に在籍
小学校に入学してからもなかなか発語がありませんでしたが、保育所等訪問支援を通して少しずつ発語が増え、意思疎通がスムーズになってきています。
こだわりが強いところもありますが、学校での活動に意欲的に取り組む時間が増えてきました。
しかし、午後になると疲れが出はじめ、気分が崩れやすくなりがちです。
 

Kくんの目標

相手の気持ちを汲みながら自己表現ができるようになる。Kくんに合った学習方法を成長や発達に合わせて都度検討する。

 

訪問時のKくんの様子

PARCスタッフが学校に伺うと、Kくんは自発的に課題のプリントに取り組んでくれていました。
書字には鉛筆ではなく、握りやすく、筆圧を気にしなくてよいマジックペンを使用してもらっています。
プリントにはKくんの名前(ひらがな)のお手本を用意し、右側に名前の視写ができるようにひらがなの数だけマスを印刷したものを使用しています。
何度かスタッフが学校へ伺っている内に、Kくんは自分の名前については手本がなくても時折書けるようになってきました。
そこで次の段階として、現在は名詞の学習を検討しています。

・直接支援・・・保育所等訪問を行い、実態を把握する。
・間接支援・・・教材の提案。

 

・自分の名前を書く

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はじめは名前(ひらがな)の数だけマスを用意していましたが、だんだんと自分の名前を想起して書くことができるようになってきたので、マスではなく大きな空欄を用意することを提案しました。
空欄では文字全体のバランスを考えることも必要になるので、少し難易度が上がります。
現在は、空欄にバランスよく自分の名前を書く練習に取り組んでくれています。

 

・名詞の学習(教材の提案)

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馴染みのある名詞のほうが定着しやすいと考え、身近にあるものから覚えてもらうことを提案中です。
また、名詞は
①具体物(イラスト)
 ↓
②文字
 ↓
③音
の順で一致することが望ましいため、図のようなプリントを作成し、大人が言葉の音を提示する方法を取る予定です。

[関連記事│子どもを不安なく園や学校に送り出しませんか?保育所等訪問支援の実際の支援]

 

まとめ

訪問支援の際は「学習状況」「生活自立」「集団適応」の3つにカテゴリー分けして支援の手立てを考えます。
この3つを混同していると、明確な目標が立てづらく、ハードル(理想や期待値)の高さが際立ってしまうからです。
この3つの分野に対して、手立てを担任や保護者と相談をしながら本人が自信を持って「できる!」をサポートしています。

また、支援1つにしても、その子の発達段階や状況に応じて「行動支援」「認知支援」「感情支援」に分けて手立てを検討していく必要もあります。
様々な手立てを一斉に進めると、お子さまの戸惑いや疲弊に繋がるかもしれません。

当事者も支援者もお互いが納得して日々を過ごしていくためにも、私たちはその子の「行動理解」に努めていく必要があります。
PARCでは、プロセス(過程)を大事に、結果を実感できる支援を目指しています。

※タイミングに合わせた支援の方法「行動支援」「認知支援」「感情支援」については、改めてブログでご紹介します。

 

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