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髙畑 脩平先生研修会まとめ│書くことに困難さを感じている子どものためにできる準備と支援

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PARCの運営会社である株式会社メディケア・リハビリ主催の研修会「書くことに困難さを感じている子どものためにできる準備と支援」を開催いたしました。
今回は、この研修会の内容をダイジェストでお送りします。
更に詳しい内容は、ぜひ髙畑脩平先生の研修会に参加してお聞きください!

 

(研修まとめ)書くことに困難さを感じている子どものためにできる準備と支援

  • 読めないから繰り返し読む練習をする。
  • 書けないから繰り返し書く練習をする。
繰り返し練習してもなかなか上達しないと、子どもは「自分は何をやってもダメなんだ…」とさまざまなことに対して無力感に囚われてしまいます。
これを「学習性無力感」といいます。

まずは「なぜ読めないのか?」「なぜ書けないのか?」
できない背景をしっかりと分析する視点が必要です。

 

書字トラブルあるある

書字のトラブルには、例えば下記のようなものがあります。
  • 鉛筆を正しく持てない
  • 綺麗な字が書けない
  • 文字のバランスが悪い
  • 聞いた音と書いた文字が一致しない(「かかし」を「ただし」と書くなど)

 

字を「書く」ために大切なこと

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「読み書き」は図のように、感覚や姿勢保持、協調運動などができるようになって初めて獲得できるものです。
しかし、このピラミッドのバランスが悪いと頂上の「読み書き」が安定しません。
まずは
  • ①姿勢を保つ
  • ②指先の感覚
の2つが大切になります。

 

①姿勢が良くなる運動や動作

姿勢を保つことが難しい子どもは身体がふにゃふにゃしてしまっています。
身体がふにゃふにゃしていると、字を書く上で
  • 筆圧が弱くなる
  • 筆圧を上げるために手首を硬くするため、ペン先の小回りがきかない
などのトラブルが出てきます。

 

筆圧が弱いと字を覚えにくくなる

筆圧が弱いと「字を書いている」という感覚がなかなか脳まで伝達されません。
脳が「字を書いている」と認識しにくいということは、つまり字を覚えることが難しくなるということです。

 

筆圧が弱い子どもは「前鋸筋」を鍛えよう!

前鋸筋とは、胸の脇辺りにある筋肉のことで、この前鋸筋を鍛えることで良い姿勢を長時間保つことができるようになり、適切な筆圧で字がかけるようになります。
前鋸筋を鍛えるためには、腕を前に90度上げ、グッと押し込むような動きをする必要があります。
例えば、
  • 四つ這いで動く
  • 手押し車運動
  • 黒板を消す動作
  • 机を布巾で拭く
などが前鋸筋に効く動作や運動になります。
姿勢が保てない・猫背なお子さまとぜひ一緒に運動してみましょう!

また、乳幼児期から姿勢を育むことも大切です。
  • ブランコ
  • 友達と綱引き
などで遊ぶことでバランス感覚や前鋸筋を鍛えることができます。

 

②指先の「感覚」が得にくい

紙の上に鉛筆で文字を書く時、ザラザラとした感覚や抵抗感を感じますよね?
これは紙と鉛筆の間に摩擦が生じていることを指先が敏感に感じ取っているからなんです。
そして、この「摩擦を感じる」ことで、私たちは「今、自分は文字を書いているんだな」と認識しています。
逆に言えば、摩擦を感じにくいと「今、自分は字を書いているだな」という認識がしにくくなるということです。
たとえば、最近クレジットカードのサインなどでタッチペンを使うことがありますよね。
タッチペンでサインすると、「いつもより字が汚いな」と感じることはありませんか?
タッチペンでのサインはペンも画面もツルツルしているので摩擦が生じにくく、文字を書いている感覚が得にくいからなんです。

 

指先の「触覚」が鈍い子ども

触覚とは五感のひとつで「触れる感覚」を指します。
指先は人の体でも特に感覚が鋭くなっています。
しかし、中には指先の感覚が鈍く、手袋をはめて字を書いているような感覚の子どももいます。
「手袋を書いて字を書く」
考えるだけでも字が上手く書けないことは想像に難くないですよね。

 

指先の「感覚」と「触覚」が弱い子どもには、抵抗感を高めて「書いている感」をUP!

指先の「感覚」や「触覚」が弱いお子さまには、書く時の抵抗感を高めて「書いている感」をUPしましょう!
たとえば
  • 紙やすりの下敷きを使う
  • 軟らかい下敷きを使う
  • 下敷きの代わりに厚紙を敷く
などを利用することで鉛筆と紙に摩擦を起こしやすくし、抵抗感を高めて「書いている感」をUPします。

 

指先の「触覚」を育む

また、乳幼児期から「触覚」を育むことも大切です。
  • スライムを触る
  • 砂遊び・泥遊び
  • 木を触る
  • 固いもの、柔らかいものを触る
など、小さい頃から様々な手触りを経験させてあげるのも「触覚」を育む方法のひとつです。

 

正しい鉛筆の持ち方は、実は理にかなっている?!

指先の「感覚」と「触覚」を育むお話をしましたが、それと平行して行うと更に字が書きやすくなる方法があります。
それが「鉛筆を正しく持つ」です。
鉛筆の正しい持ち方は、親指・人差し指・中指の3本で持ちますよね。実はこの持ち方、とっても理にかなっているんです。
鉛筆に触れるこの3本の指は、人の指の中でも特に敏感な指です。
親指・人差し指・中指が鉛筆に触れていることで「字を書いている!」という感覚がより分かりやすくなり、脳に「字を書いているぞ!」ということが伝わりやすくなります。

極論を言えば、持ち方は正しくなくても親指・人差し指・中指で鉛筆を持つことができれば、「書くこと」が改善する可能性があります。
  • 三角えんぴつ
  • えんぴつグリップ
  • 目玉クリップ
などを使って、親指・人差し指・中指で鉛筆を持てるようにアシストしてあげるのも良い方法です。

 

まとめ

「書くこと」にはまず、
  • ①姿勢を保つ
  • ②指先の感覚
の2つが大切になります。
前鋸筋を鍛えたり、紙やすりの下敷きを使ったりすることで「今、自分は字を書いているぞ!」という感覚を養い「書いている感」をUPすることができます。
「書くこと」を苦手に思っているお子さまがいれば、ぜひ参考にしてみてください。

 

次回10月14日(木)│メディケア・リハビリ研修会「育ち方の多様性をリスペクトする社会のあり方」本田秀夫 先生

次回のメディケア・リハビリ研修会は
10月14日(土)19:00~21:00
「育ち方の多様性をリスペクトする社会のあり方」です。
テレビ番組「プロフェッショナル仕事の流儀」などにも出演された発達障害の専門家 本田秀夫先生をお呼びして、発達障害児の発達の見通し、そして将来起こりうる問題を予測し「防ぐ」「備える」手立てについて学びます。

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