あなたは「ブランコ」と聞くと、どういう乗り方や遊び方をイメージしますか?
PARCあしやには、大きなブランコ(以下、スイング)があり、子どもたちに大人気です。
今回は、その「スイング」を使ったイベントについてご紹介します。
スイングとは? スイングとブランコの違い
スイングはぱっと見た感じ大きなブランコのように思えますが、一般的なブランコのような動きはもちろん、スペースローリングというものや棒だけをぶら下げたりするなど、アイテムを変えることで難易度の調整を行うことができます。
そのため、PARCではお子さまの年齢やこだわりに合わせたあそびの提案をしています。
スイングを用いた感覚統合
まず、スイングに焦点を当てたあそび方を考える上で、スイングには「どんな運動の要素が含まれているか?」ということを感覚統合理論の視点から分析して考えました。
たとえば、スイングではブランコと同様に「漕ぐ」という動作を行うことができます。
しかし「漕ぐ」とは一言でいっても、その動作の中には様々な感覚が含まれています。
- 座面にお尻が当たる感覚
- 顔や手足に風があたる感覚
- 漕ぐときの筋肉や関節の動き
- 揺れる感覚
- 落ちないように体のバランスをとる
- 揺れたときの周りの景色の見え方
脳にはこれらの情報が一気に押し寄せてきます。
しかし、これらの感覚すべてを同じように受け止めていると、その処理に忙しくなってしまい、漕ぐどころではなくなってしまいます。
そこで人は、経験によって必要のない情報はあまり感じないように制御したり、逆に必要な感覚にはスポットを当てて敏感に感じ取ったりする機能があります。
感覚統合とは、このように人が身体や環境から受け取る感覚情報を整える神経学的過程のことをいいます。
感覚統合を取り入れたイベント企画「ゆらゆらチャレンジ」
今回のイベント企画「ゆらゆらチャレンジ」では、以前に実施したイベント「トランポリンピック」と「あそび駅伝」での良かったところをたくさん取り入れました。
トランポリンピック
▼あそびかた表
参加したあそびにシールを貼っていくことで、自分やお友達のがんばりが目に見えて分かり、積極性を育むことができました。
▼あそびかた図鑑(あそび方の説明)
スタッフが遊びを紹介している写真を集めて図鑑にしました。知っている人が写っていることで、関心を持ちやすくなったり、安心して遊びに取り組んでくれたりしました。
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あそび駅伝
▼みんなでチャレンジできる企画
個人ではなく、お友達と一緒にチャレンジする企画を取り入れました。たとえば、あそびを1回実施すると1Km進む設定にして「みんなで何Km進める?」というチャレンジです。
こうすることで、自分だけでなくお友達が頑張っている様子も分かり、応援し合ったり競争したりといった新しいコミュニケーションが生まれました。
▼「あそび」スケジュール表を掲示
事前にスケジュールを提示し、期間ごとにあそびが代わることを子どもたちにお知らせしました。スケジュールを把握することで見通しを立てることができ、「来週からは●●に挑戦!」と積極性を育むことができるとともに、飽きずに継続する気持ちを培うことができました。
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「ゆらゆらチャレンジ」の工夫
上記2つの企画イベントで良かった点- あそびかた表
- スケジュール表示の掲示
自然とイベントに参加できるように
「あそびかた表」や「スケジュール表」は、スイングに乗ったところでちょうど目につくところに貼り出すことで、スタッフが促すのではなく、子どもたち自身から自然とイベントに参加できるようにしました。
目で見て成果が分かる
チャレンジするごとにプロテインカップにシールを貼っていき、カップいっぱいにシールが溜まると、掲示してある男の子に筋肉が少しずつついていくという仕組みにしました。
目で見て自分たちの現状と成果が分かるように設定しました。
子どもたちの興味を引く
「筋肉」「マッチョ」など、子どもたちが関心を持ちやすそうなワードを取り入れたり、「みんなで協力する」という目的を作ったりして、子どもたちに自主的に参加してもらえるよう工夫しました。
イベント「ゆらゆらチャレンジ」の様子
何気なくスイングに乗っていた子どもたちでしたが、ふと掲示物が目に入ると「あれなに?」「どういうこと?」と続々興味を持ってくれました。
あそびかたの写真をじっくり見ながら、どうやったら写真と同じ乗り方やあそびかたになるのかを一所懸命に自分で考えたり、スタッフと一緒に試行錯誤したりする子など、みんな意欲的にイベントに取り組んでくれました( *´艸`)