PARCにはさまざまな専門職がかかわっています。
保育士や児童指導員はもちろん、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などなど。もしかしたら、あまり耳馴染みのない職業もあるかもしれません。
そこで、この「お仕事シリーズ」では1つの専門職にスポットを当てたお話をしていきます。
第1弾は、言語聴覚士!
以前、「PARCだより」にも掲載しましたが、こちらではより詳しくご紹介します。
■言語聴覚士とは?
言語聴覚士とは、病気や事故、発達上の問題などでコミュニケーション(言語、聴覚、発声・発音、認知)や食べること、飲むこと(摂食・嚥下)に困難がある方に対し「話す」「聞く」「食べる」ことの検査や評価、支援を行う専門職のことです。
対象はお子さまからお年寄りまでと幅広く、その人が抱えている困難の本質的な原因や発現のメカニズムを明らかにし、一人ひとりに合った支援を行っています。
また、英語ではSpeech-Language-Hearing Therapistといい、略して「ST」と呼ばれることもあります。
■言語聴覚士はどんなことをするの?
例えばこんなことをします。
■ことばの遅れ
知的発達の遅れや対人関係の障害、言語機能の発達が遅れているお子さまに対して、語彙の拡大や興味の幅を広げるといった関わりをします。
「話しことば」の獲得とともに、「ことば」以外のコミュニケーション手段の獲得を目指すこともあります。
■発声・発音
「構音障害」や「吃音」など、発音が不明瞭だったり流暢に話すことが難しかったりする方に対し、舌や喉など話すときに使う器官をうまく動かすためのトレーニングを行います。
■聴こえ
難聴がある方に対し、検査や訓練、補聴器のフィッティングなどを行います。対象が子どもの場合はことばの獲得も目指します。
■摂食・嚥下(食べること・飲み込むこと)
食事時の姿勢や食べ方、口や舌、喉などの動きのトレーニングを行います。また、検査や観察など多角的な評価によって問題点を把握し、食事の種類や形状といった内容の検討も行います。
そのほか、原因や症状によって適切な支援を行います。
■お子さまのことばの発達
お子さまのことばの発達には、「からだ」や「こころ」を含めた発達全体を促すことが必要です。特に伝えたい気持ちをしっかりと受けとめてあげて寄り添うことが大切なので、周りの大人が良い聞き手となって遊び相手になることが必要です。
また、目を合わせる体験は「ことば」によるコミュニケーションの基礎となります。
授乳時に乳児が大人の目をじっと見たときは、大人もしっかりと目を合わせることが後々の共同注意の成立、言語コミュニケーションの発達にとって大切だといわれています。
表情のある目(アイコンタクト)によるコミュニケーションの経験は、愛着の形成や基本的信頼感など、心理的な安定の基礎になるので、子どもの視線が向いているときはしっかりと見てあげてくださいね。
■おわりに
「他の子と比べて、話すのが遅い」「ことばが聞きとりにくい」など、お子さまのことばの発達について気になることがあればお気軽にご相談ください。
また、就学してから知的な遅れはないのに「読むのが遅い」、一文字ずつ読む「逐次読み」や「読めるけど書けない」などの読み書きに困難を示すお子さまもいます。
読み書きの評価も行えるので、気になる方はスタッフまでお尋ねください。
文・言語聴覚士 古里 恵